ガレの庭

ガレの庭
2016-3-18

自然教育園のすぐ隣は庭園美術館です。エミエール・ガレといえばみなさんご存知でしょう。すぐ近くの庭園美術館で<ガレの庭>という展示会やっているのに、あまりに有名なので、ガレなぞよく知っていうからいいやとほっておいたのです。しかし、陶芸窯を買い、Makers Baseに通い、だんだんアート・ビジネスの準備が整ってきて、売れる商品を作るという命題を眼前に突きつけられ、もう手を動かさねばならないぎりぎりのところまで来てしまいました。この時<庭>という言葉にアレ!と思ったのです。

ガレの作品は花はもちろんトンボ、カエル、チョウ、カマキリ等々自然からのデザインがあふれています。ガレの<自然を作品に落としこむ過程>はいかなるものか? 俄然興味がわいてきました。

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自然→写真→陶板/色立体という流れをとってきた当方の過程は、なんとガレの過程と基本的にはほとんど同じだったのです。ガレと当方を同列で議論するとは全くおこがましいですが、しばらくご勘弁を。

ガレから学んだことを列記します。

1、ガレは自然を一度、デッサン画に落とし込んで作品の設計図を作ります。ガレは経営者であり、植物学者であるところが一般の作家さんに比して大きな特徴です。音楽でいえばこのデッサン画は楽譜であり、ガレは作曲家兼指揮者です。
かれのデッサン画をもとに多くの職人に作品の作り方を指示しているのです。ガレのガラス工芸手法はどんどん発達して12以上にのぼります。

今回の展示会はこのデッサン画と最終作品が並べて展示してあることが画期的です。それぞれ所蔵している所が違いますから、ここで一堂に会する機会はとても貴重なものです。

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デッサン画にミシン穴をあけて、そこの染料を塗り、ガラスの表面にデッサン画のポジションを移してそれからおもむろに色ガラスを貼ったり,描いたりして絵柄を作ってゆく手法がとられます。

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これは九谷焼の上絵の書き方に類似しています。


当方は自然の写真を見ながら直接、陶板に絵を描いていました。一度デッサン画を描くことがデザイン上、非常に重要であると悟りました。写真は現物が必要ですからデザイン上の制限がありますが、デッサン画は自由にデザインを作り上げることができます。ここで一度、自然を絵画に変換する必要があるのです。

ガレは植物学者でもあり彼のデッサン画はボタニカル・アートのように生物学的に精密な描き方ですが、精密の上にデザイン性が加わっているところが重要です。

当方の場合はガレのようにボタニカル・アート風な精密性を追求することはないですが、生物学的真実性(虫の足が何本とか、花弁の重なり具合はどうだとか)を崩さないように注意してきました。どこまでデホルメするかは重要な課題です。
自然→写真→<デッサン画/デジタルイラストレーション>→<企業秘密>→陶器 この連結部分はこれからの課題です。むろん頭の中にはこの連結法のアイデアがいくつかあります。

2、ガレは当初、ボリュームのあるレリーフ・デザインを試みていましたが、次第に厚みの適当なレリーフが主流になります。ボリュームを一方的に増強してゆくというよりはボリュームの最適化に気を配っているようにみえます。当方も初めはインプレッションを強くしようと絵を盛り上げてボリュームをできるだけとろうとしていましたが、そのころの作品は、なにか品がありません。ガレの作品もレリーフの厚みは適当な方が好感が持てます。

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3、ガレの作品は主題本体の下台の部分に,色々な試みがなされており、下台が重要な意味を持っています。陶器の場合は下台という概念がほとんどなく、あっても茶碗の高台で、いたってシンプルです。陶芸教室の先生によると、陶器は壊れやすいので、細い下台などは無理である、磁器なら、下台に凝るケースがあるとのことでした。しかし、陶器でも下台の概念を入れ込んだら面白いと思うのです。金属を用いた下台のコンビネーションも面白い。

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ニキ・ド・サンファルも金属彫刻家との長い間にわたる公私にわたるコラボレーションの結果の作品がありますが、これもインプレッシブです。

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ニキ・ド・サンファルと彫刻家ジャン・ティンゲリーの合作


4、ガレは本体を花、たとえばスミレやヒナゲシの花の形にして、さらにその本体にスミレやヒナゲシを描くという二重のデザインを時折行います。当方にはこの発想が無かった。この自由さには新鮮なインパクトを受けました。

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ヒナゲシ

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スミレ

5、ガレはレリーフの浮彫部分と、背景とに二重のインプレッションを持たせている作品が多くあります。花の浮彫と森の雰囲気の背景とかです。この組み合わせに大きな意味を持たせているところが重要です。

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6、ガレは常に新しい試みをしています。ガレの初期の作品は当方がこれまで考えてきたこととよく似ており、後期の作品は初期の作品からは考えられないほどの進化を遂げています。初期の方向性が似ているのですから、ガレ後期の作風は当方のこれからに大きなインパクトを与えることは必至です。

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1875年

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1887年

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1904年

7、ガレはガラスですが、陶器の釉薬(うわぐすり)も言ってみればガラスです。ガレのガラス作品と陶芸は多くの共通点があります。特に当方が目指す色立体はまさにガレの方向です。

以上、ガレの庭は4月10日までです。ぜひ皆さん足を運んでください。見ごたえありますよ。

写真はすべて<ガレの庭>のカタログからのコピーです。話の説明のために使わせていただきました。ご容赦のほど。


















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Author:山海旅人
山海旅人
<南方から黒潮に乗って流れ着いた人の子孫と思われる>
趣味:おいしい魚をたべておいしいお酒を飲むこと。お魚の料理もいたします。海が近付くと元気になると人にいわれます。

座右の銘:<芸といふものは実(じつ)と虚(うそ)との皮膜(ひにく)の間にあるもの> 
実写とデフォルメの間に真実があるという意味です。

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