<トーマス・ルフ展>と<革新の工芸> その1

<トーマス・ルフ展>と<革新の工芸> その1

2016-9-19

自然教育園に散歩に行こうと思ったとたんに大雨が降ってきました。仕方なく予定を変更して東京国立近代美術館の<トーマス・ルフ展>に向かいました。このあとちょっと先にある工芸館で<革新の工芸>も見ました(実は後者が最初に考えた目的だったのですが)。

こういった展覧会は、見た後、元気になるか、落ち込むかが重要なポイント。既成概念をぶち破ってくれたり、新しいアイデアをもらったりすると元気になり、なにか心に響かないときはこれだけ作家さんが一生懸命作品を作っているのに、どうしてだ? 作った人に力が足りないのか、見る方に何かかけているじゃないか?とか、これだけの人がこれだけやってもこれくらいしかいかできないのか、それなら当方がいくら頑張ってもゴミクズみたいなもんだ?とか、ジトーっと落ち込む。

音楽は、自分で下手なりでも演奏すると、その作曲家への理解が深まる。写真や工芸も自分でやっているとすごく生々しく作品を見ることができる。これは自分でやることのメリットであるが、最近考え込みすぎて、寝ても覚めても毎日うなされている。

さて<トーマス・ルフ展>と<革新の工芸>はどうだったのか?

トーマス・ルフは1958年生まれというから69歳でまだ現役。現代写真の巨匠と書いてある。当方は写真家を全く知らないので、すみませんトーマス・ルフも日曜美術館の紹介で初めて知りました。現代アートに対して大体は拒絶反応が激しいのですが、といって入口で拒否しているわけではありません。ボストンに一年いた時もコンテンポラリー・アート美術館の会員になっていました。家内のコーラス仲間のプロ歌手で、近代/現代音楽家のめずらしい曲を発掘して小コンサートを開く人がいるのですが、聞きに行きました。これで2回目。ジョン・ケージという近代/現代音楽家はピアノを壊したり、曲の演奏時間である4分33秒の間、演奏者が全く楽器を弾かず最後まで沈黙を通すのが作品だったり、とんでもなく変わっているのです。今回初めて聞いて、ただ町のざわめきを脈絡なく、録音と声でつづってゆくのですが、何か面白い。同時に演奏されたいくつかの現代作家の他の曲より、とんでもなく変ではあるが、ずっと面白い。
当方、陶芸/デジタルデザイン/キルンワーク(ガラス工芸)の3つを融合しようと連日格闘しているわけで、とにかく今は新しい試み/考え方に飢えています。自分の中に固まっている概念をぶち壊したい。新しい試みをしているようで、なんのことはない結局ガチガチなのだ。意図的に壊さなくては。
世の中皆が、写真だと思っている概念はなんとなくわかってきた、だけどこの概念はだれが決めたのか、これしかないのか、当方が追っかけているノン・メッセージ写真はバカなのか?? 写真の概念をぶっ壊してきたトーマス・ルフに答えはあるのか??
トーマス・ルフ展は写真撮影OKということで、撮りまくります。内容は分かったようなわからないような。とにかくテクニックがいろいろ変遷して、はっきりとは理解できない。うまく説明できないので、書いてある説明をこまめに撮って、そのまま載せるしかしょうがない。興味ある方は自分で読んで考えてください。撮影OKということで、ネットにいっぱい紹介文や写真がでていますが、説明文をダイレクトに載せているのはめずらしいですよ。

カメラはFujifilm X-T10+Zeiss touit32mm

0924-1.jpg

0924-2.jpg

0924-3.jpg

0924-4.jpg

0924-5.jpg

0924-6.jpg

0924-7.jpg

0924-8.jpg

0924-9.jpg

0924-10.jpg

0924-11.jpg

0924-12.jpg

0924-13.jpg

0924-14.jpg

0924-15.jpg

0924-16.jpg

0924-17.jpg

0924-18.jpg

0924-19.jpg

0924-20.jpg

0924-21.jpg

0924-22.jpg

0924-23.jpg

これだけ説明を写し忘れました。ネガをデジタル処理して、ネガのまま写真としたらしいです。

0924-24.jpg

0924-25.jpg

0924-26.jpg

当方は絵画みたいな写真を作りたい、デジタル写真だから、デジタル処理でそれが出来るだろうと思って写真を始めたのですが、テクニックがわからない。トーマス・ルフはそれをやっている。やつの3Dプログラムとは何んだ? 当方もその近くまで来ているはずなのだが。 近くなのに遠い。 この人、たしかインタビューでいろいろテクニックを考え出すこと自体が好きだと言っていた。何かを表現したくてテクニックが変遷しているのではなく、テクニックを考案すること自体が興味というのは本当らしい。絵画みたいな写真の部分は当方の方向に合致し、当方の方向が変なことではないとちょっと安心するのだが、と言って、当方は明日からどうしていいかは一向にわからない。とにかく、<すきなことやって、これがいいのだといえばいい>という点ではトーマス・ルフ展はちょっと元気をくれた。


スポンサーサイト

<トーマス・ルフ展>と<革新の工芸> その2

<トーマス・ルフ展>と<革新の工芸> その2
ここからは近代美術館の常設展

ここも撮影OK。数ある展示作品の中から、先入観無しに、いくつかを選択してアップします。この選択には当方にとってきっと重要な意味があるのでしょう。当方の現在の飢えを満たすものとして。

0926-1.jpg

0926-220.jpg

近代/現代の写真とは何かと思ってそういうコーナーを見てみました。これはダリ風。これだったらダリでいいじゃないの?その他は写真を撮る気もしなかった。

ヘルベルト・バイヤーはカンジンスキーの影響を受け、グラフィックデザイン、絵画、タイポグラフィー、フォトモンタージュ、彫刻や建築と、その生涯を通じジャンルを越えて創造的才能を開花させた。

0926-2.jpg

0926-3.jpg

0926-330.jpg

当方はマチス、ジャガール、デュフィ、カンジンスキー、クレー、ミロなんかを見て育ったので、このあたりが中枢ネットワークかDNAかに刷り込まれているようで、故郷に帰ったように安心します。

0926-4.jpg

0926-440.jpg

0926-5.jpg

0926-550.jpg

中学生のころからフォンターナに興味を持って見ていました。

0926-6.jpg

0926-660.jpg

日本的詩情あふれる抽象表現の可能性を追求しつづけました。彼の作品から広がる晴朗、澄明な抽象の世界は、一人の人間がその「生」をかけて取り組むことによってのみ得られる、 魂の結晶とも呼ぶべき輝きに満ちています。そしてその輝きは、画面上に表現される色調(トーン)と形象(フォーム)に対する彼の徹底した厳しさによって支えられています。<絵に詩(うた)い、絵で思う>。

0926-7_2016092620530926e.jpg

0926-770.jpg

岡本太郎は以前のブログでずいぶん書いたので、ここではコメントしませんが、こう並べてみるとそれなりに存在意義のある作家であることは間違いありません。

0926-8.jpg

0926-880.jpg

この方もトーマス・ルフ同様、最初は写真家でフォトグラムを作成していた(フォトデッサンという)。その後版画・絵画に移行。最も優れたカラーリスト(色彩画家)の一人と評する人もいる。以下ネットから瑛九作品を少しピックアップ。いいですね。とってもいいです。当方の狙いにとっても近いです。

0926-9.jpg

0926-10.jpg

0926-11.jpg

0926-12.jpg

0926-990.jpg

1929年生まれ
統合失調症、いわゆる精神分裂症で、精神科医に見いだされて発展していった画家として特異である。草間は現在に至るまで水玉(ドット)をモチーフに制作する事が多いが(ドット・ペインティング)、これは耳なし芳一が幽霊から身を守るために全身に経で埋め尽くした様に、彼女が恐怖する幻覚や幻聴から身を守るために、作品全体を水玉(ドット)で埋め尽くす儀式でもある、とされる。これを選択した当方も精神分裂症に足を突っ込んでいるのかもしれない。

0926-13.jpg

0926-14.jpg

アメリカの週刊誌TIMEが毎年行っている世界の影響力ある100人に日本人でただ一人草間彌生が選ばれました(2016年)。

0926-15.jpg

前衛の女王と言われる。 ウーム、ニキ・ド・サンファルといい勝負だ。

0926-16.jpg

0926-1000.jpg

パウル・クレーから大きな影響を受ける。海はコラージュ技法(ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせることで、例えば壁画のような造形作品を構成する芸術的な創作技法)である。古賀春江はむしろ写真におけるモンタージュ技法に近い。お寺の住職の子として生まれ、精神的異常性が死ぬまで亢進し続ける。
当方の選んだ日本画家、後半の3人は偶然にもいずれも写真and/or精神異常と縁がある。これは何を意味するのか??

0926-17.jpg

0926-18.jpg


0926-19.jpg

0926-2000.jpg

0926-20.jpg

最後はピカソでした。ほんとピカソはこまるよ。真似しようにもどうにもこうにも、手もあしも出ない。

近代美術館は撮影OKだからいい。ときおり撮影禁止のマークがあるのだが、うっかり見落として撮影してしまうと、係員が飛んできて、消去せよという。

では次に<革新の工芸>に向かいます

<トーマス・ルフ展>と<革新の工芸> その2

<トーマス・ルフ展>と<革新の工芸> その2

2016-9-16, 9-22
<革新の工芸>は特に心に響く新しい物はなかった。その後行った<第63回日本伝統工芸展>と混ぜながら印象を述べてみます。写真の出どころは<革新の工芸>(東京国立近代美術館工芸館、2016-9-17~12-4)および<第63回日本伝統工芸展>(日本橋三越本店、2016-9-21~10-3)、さらに岡部峯男展(益子陶芸美術館、2015-10-4~2016-1-17)のカタログからのコピーです。

まずは日本伝統工芸展から

1004-1.jpg
日本伝統工芸展  田島正仁  朝日新聞賞

これは一番印象的でした。多治見の加藤幸兵衛の窯で見たから、ツボをひっくり返して釉薬を流す手法と思われます。ですから、てっきり次の加藤幸兵衛さんの作かと思ったのですが。

1004-2.jpg
日本伝統工芸展 加藤幸兵衛

今回の加藤幸兵衛さんは賞の取りすぎで一休みかな?

1004-3.jpg
日本伝統工芸展 高橋奈己  日本工芸新人賞

これは若い方の作品で、興味あって、自分でもやりたいともって注目していました。実際はとっても面倒くさい手法であることが分かってきてウームと思っています。ホルム重視の作品は皆モノトーンであることは、分るのであるが、何とか色立体にしたいというのが当方の方向です。

1004-4.jpg
日本伝統工芸展 市野悦夫

こういう、本当に伝統のタンジェントでいい作品を作る方向は好きだ。後で出てくる浜田庄司からどれくらい進んだかというと疑問ではあるが、その中にひとりでに作り手の個性がにじみ出るわけで同じタンジェントで挑戦し続けることは是非やり続けるべきであると思うのです。

1004-5.jpg
日本伝統工芸展  松井浩之

同方向

1004-6.jpg
日本伝統工芸展 石山哲也

上述の伝統タンジェントから違う方向に行きたいとあがいている作品は全体の90%を占めていました。 しかし、言いたいことはよくわかるのですが、結果としてインパクトがない。この作品は比較的成功していると思うのです。

1004-7.jpg
加藤清和 日本工芸会奨励賞


これは唐三彩の伝統窯を引き継いだ名門の作家さんですが、この作品は融点の異なるガラスフリットを釉薬に混ぜて、釉薬の流れをコントロールしています。まさに当方のやろうと思っていたガラスの融点の違いで流れを作ろうとしている方向と同じです。この作品は藍三彩と称しています。でも加藤清和さんの作品は唐三彩の作品の方が好きです。今後に期待します。

1004-8.jpg
日本伝統工芸展  萩野紀子 日本工芸会会長賞

これは銀と赤胴の棒を300本以上継ぎ合わせて形を作っている。とても魅力的です。陶芸に比べて、金属工芸やガラス工芸の方が意匠に力を入れているように見えます。陶芸は偶然性が半分以上占めるので、そういうことになるのでしょうが。その結果陶芸が一番振れ幅の狭いジャンルに見えてしまうのです。

1004-9.jpg
日本伝統工芸展  本馬昇  日本工芸会新人賞

この作品は今回の展示の中で最もいいと思います。寄木細工の職人さんが、寄木細工はお土産品ばかりでないことを証明するために作り出したものです。85歳の方が新人賞ということがそれを示しています。寄木細工のパターンを裏に隠して、格子越しに見せる。
陶芸以外の工芸の方が斬新なものが多い。

1004-10.jpg
日本伝統工芸展  野口恵美 

パート・ド・ヴェールの作品。パート・ド・ヴェールは一点しかありませんでした。当方、ガラスの勉強のためにパート・ド・ヴェール/キルンワークの工房に通い始めているのです。パート・ド・ヴェールというのは石膏で型を作ってガラスカレットを詰めて800℃くらいの低温で焼くんです。こういう低温窯のガラス工芸をキルンワークと言います。下のような透明なガラスにしようと思うと高温の窯でくそ熱い中で格闘する必要があります。パート・ド・ヴェールは不透明な作品が中心で、通うところを間違えたと後悔していたのですが、こうやって見ると不透明なガラス立体もいいかもしれない。

1004-11.jpg
日本伝統工芸展 大槻洋介

伝統工芸展の作品はどれも手に取ってじっくりと眺めれば素晴らしいものであることは間違いありません。しかし、ザックリ見た印象も大事です。陶芸に関してだけ言えば、皆同じくらいの大きさの円形で、色使いも形も突飛なものはありません。極論すればみな同じ。ほんのわずかな違いの中でしのぎを削っています。なにかダイナミズムに欠けて、躍動しません。おそらく突飛なものは事前にはじかれてしまい、審査員のイメージのある範囲のものだけが残ってくるのでしょう。伝統工芸だと言ってしまえばそれまでで、伝統を大切にするならこういう行き方も意味あるとは思いますが、元気でません。もっとダイナミックな陶芸展はどこでやっているのでしょうか?

ここから<革新の工芸>に移ります。 革新のと言っているだけあって、伝統工芸展より革新的というか、作品の振れ幅は大きい。 といってパッと見は特に惹かれるものはありません。

1004-12.jpg
革新の工芸 中村卓夫 2015, 2016

1004-13.jpg
革新の工芸  八代清水六兵衛 2014, 2015

以下の3点はもう大御所ですから、革新といっても昔の革新です。これらは古典になるのでしょう。当方は50年前の革新しか同調できないということですか?

1004-15.jpg
革新の工芸 加藤卓男 1963

これは人間国宝、6代目加藤卓男の作品で、多治見の幸兵衛窯(以前当方のブログで紹介しています)は5代目加藤幸兵衛が作り上げ、7代目加藤幸兵衛が中心に活動しています。このブログの2番目に登場させました。

1004-16.jpg
革新の工芸 浜田庄司 1958

言わずと知れた、人間国宝の浜田庄司。

1004-17.jpg
革新の工芸 岡部嶺男  1962


1960年<永仁の壺>贋作事件というのに巻き込まれて、岡部嶺男は人間国宝を辞退したらしいが、当方はそんな事件は知らないから、純粋に岡部嶺男は今一番魅力に感じている作家さんである。
昨年、白金陶芸教室が益子で穴窯を借りて作品を焼いたときに手伝いに行って、たまたま益子陶芸美術館で岡部嶺男展をやっていて、とっても引き付けられた。 以下、その時の展示作品である。

1004-18.jpg
岡部嶺男展 岡部嶺男 1954

1004-19.jpg
岡部嶺男展 岡部嶺男 1968

1004-20.jpg
岡部嶺男展 岡部嶺男 1956

1004-21.jpg
岡部嶺男展 岡部嶺男 1961

1004-22.jpg
岡部嶺男展 岡部嶺男 1966


どこの世界でも同じかも知れませんが、伝統が長いジャンルほど保守性が強い。少なくとも伝統工芸展では陶芸がもっとも保守的に見える。そのなかでも新しいことに挑戦して成功している作品は何らかの賞をとっている。これはこれでいいと思うのであるが。   日本では東大から、アメリカではNIHからノーベル賞が出にくいのはなぜか? もっともお金を使っているトップの組織であるのに。   もっと揺れ幅が大きくていいのでは。革新から伝統までの大きな振れ幅の中から画期的作品が生まれ、それが伝統になり、そしてまた革新が芽生えるのではないか。  
 当方、今日は陶芸伝統にもどってロクロの勉強をし、明日はキルンワーク(ガラス工芸)の勉強にゆきます。写真はフォトグラムをやらねばというのが今回の調査の結論。デジタル情報の写真とデジタルアートの融合です。 写真に陶芸にガラスにデジタルデザイン、ハンドメード・マーケットへの出品作品作り、LifeSeqのバイオ新商品作り、実体は、現状、頭の中がグチャグチャ状態です。
プロフィール

山海旅人

Author:山海旅人
山海旅人
<南方から黒潮に乗って流れ着いた人の子孫と思われる>
趣味:おいしい魚をたべておいしいお酒を飲むこと。お魚の料理もいたします。海が近付くと元気になると人にいわれます。

座右の銘:<芸といふものは実(じつ)と虚(うそ)との皮膜(ひにく)の間にあるもの> 
実写とデフォルメの間に真実があるという意味です。

最新記事
リンク
このブログをリンクに追加する
最新コメント
訪問ありがとうございます。
過去の記事(カテゴリ別)
過去の記事(月別)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ただいまの時刻は??
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
最新トラックバック